開催日:令和 7年 9月 4日
会議名:令和 7年第3回定例会(第1日 9月 4日)
○35番(武藤まさひろ議員) 公明党目黒区議団の一員として一般質問を行います。
まず1点目として、電位治療器ヘルストロンについて伺います。
この電位治療器は、厚生労働省の認可を受けた椅子型の医療器具で、人工的に発生させた高圧電界で全身を包むことで頭痛や肩こり、慢性便秘、不眠症を緩和させる効果があるとされ、マッサージ機のような体に対して押す、もむなどの物理的な力を与えるものではなく、上部、座部、足元の電極間に形成される電界で全身を覆い、電位の刺激で血行を促進するものです。令和3年4月より、目黒区高齢者センターに4台、駒場老人いこいの家に2台設置されています。
そこで、伺います。
1問目として、現状、高齢者センターと駒場いこいの家に設置されているが、利用実態を伺います。
この電位治療器を利用した区民の方から、もっと他の地域にも設置したほうがいいとの要望を受けましたので、2問目として、北部と東部に設置されているが、中央、南部、西部への設置は考えられないか伺います。
次に、2点目として、旅館業法について伺います。
厚生労働省における旅館業法に関する質疑の中に、旅館・ホテル営業について、玄関帳場に代替するICT設備を備えていれば玄関帳場を設置しないことができるのか、また、代替設備を備えれば無人で営業することも可能かとの問いに、宿泊者の安全や利便性の確保のため、①緊急時の対応ができること、②宿泊者の本人の確認や出入りの確認ができること、③鍵の受渡し等を適切に行うことができることといった通知でお示しした設備を備えれば、旅館・ホテルの施設内に職員等を常駐させないことも可能である。ただし、②については、旅館・ホテル営業の全ての施設について、施設ごとに、ビデオカメラ等を設置し、宿泊者の本人確認のみならず、出入りの状況の確認を常時鮮明な画像により実施する必要があるとの答えです。こうした状況で、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、対面型から非対面型に移行したケース、その後、人手不足による影響から、非対面型を採用すると伺っています。
そこで、伺いますが、1問目として、2018年の改正で玄関帳場の設置義務が撤廃されました。現状、区内において玄関帳場を設置していない旅館はあるのか伺います。
続いて、今までの旅館やホテルというのは、それなりの大きさの建物で個別の部屋に宿泊者が泊まり、フロントや従業員も同じ建物で働いているので、何かあれば即時に対応できるとのイメージだと思います。ですが、法改正により、フロントもなく従業員もいない戸建ての一軒家で客だけの宿泊も可能になります。
旅館・ホテルの運用が大きく変わっていますが、目黒区旅館業法施行条例は宿泊者のための衛生や安全を確保するための条例で、近隣への配慮は何もされていません。片や、目黒区住宅宿泊事業(民泊)においては、周辺地域の住民に周知が義務づけされています。条例に基づき、届出に先立って、事業を営もうとする住宅の周辺住民等に対し、掲示及び書面配布等による事前周知を行う必要があります。
周辺住民の範囲は、事業を営もうとする住宅の土地に属する家屋の使用者及び隣接若しくは近接する土地に存する家屋を所有する、または居住する住民を対象としています。事業を営もうとする住宅が共同住宅である場合、1棟の建物に存する場合は、全住戸に居住する住民を対象としています。
事前周知の際の注意点として、周辺住民等に対し、届出の15日前までに事前周知を行うこと、事前周知は、届出住宅ごとに掲示及び書面配布等で行うこと。周知内容は、住宅宿泊事業を営もうとすること、届出住宅の所在地、建物名及び部屋番号、住宅宿泊事業を営もうとする者の連絡先、住宅宿泊事業を開始しようとする年月日、掲示及び書面配布を行う年月日、そして周知報告書の提出となります。提出の際には、事前周知を行った日時、周知先、周辺住民から申出のあった意見の内容等の記録を作成してくださいなどとなっています。
そこで、伺います。
2問目として、現状の目黒区旅館業法施行条例において、新たに旅館業を始めることを周辺地域の住民に周知することを義務づけされていません。片や、目黒区住宅宿泊事業においては、周辺地域の住民に周知が義務づけされています。であるならば、新たに旅館業を始める事業者にも周辺地域の住民への周知を義務づけが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
次に、3点目として、リチウムイオン電池について伺います。
リチウム電池を使った製品がほかのごみと混ぜて捨てられ、処理の過程で発火する事故が増えています。危険性を十分に認識し、適正な回収や廃棄を徹底することが重要となっています。政府は、同電池内蔵モバイルバッテリーとスマートフォンなどの携帯電話、加熱式たばこの機器の3つの品目に関し、来年4月から事業者に対して回収とリサイクルを義務づける方針を決めています。
充電して繰り返して使えるリチウムイオン電池は、劣化すると内部に可燃性のガスがたまり、この状態で強い衝撃が加えられたりした場合に発火の危険性が高まります。環境省によると、ごみ収集車やごみ処理施設における同電池が原因と見られる発火・発煙は、2023年度に2万1,751件発生、昨年には火災によって一部稼働停止に追い込まれたごみ処理施設もありました。こうした事故が相次ぐ背景には、モバイルバッテリーのような電池の取り外しが難しい製品が急速に普及していること、利用者が破棄方法に戸惑うこともあり、事故防止に向け、製品そのものを回収する体制を強化することは不可欠になっています。
そこで、伺いますが、令和5年3月から、リチウムイオン電池、モバイルバッテリーなど小型充電式電池の回収を開始しています。
1問目として、区内にある10か所の回収ボックスの現状を伺います。
そして、2問目として、区のウェブサイトにある「リチウムイオン電池などの小型充電式電池等の回収を行っています」を見ると、分かりやすく掲載されています。また、動画を見るととてもよく分かります。ただ、ウェブサイトを見ない方も一定おり、また、製品からの取り外しが困難なケース、リチウムイオン電池が使用されている製品だと認識されていないなど、リチウムイオン電池の回収などの危険性の認識がなかなか区民に届きづらいと感じています。もう少し身近に分かりやすく周知できないか伺います。
以上、壇上からの質問を終わります。(拍手)
〔青木英二区長登壇〕
○青木英二区長 武藤議員の3点にわたる御質問に順次お答え申し上げます。
まず、第1点目、電位治療器についての第1問、高齢者センターと駒場いこいの家に設置されている機器の利用実態についてでございますが、本機器は、現在、高齢者センターと駒場いこいの家に設置をされ、区民の方に御利用いただいております。これらの機器につきましては、高齢者センターや駒場いこいの家の開設に併せて設置したという経緯がございます。また、電位治療器やマッサージ機等につきましては、その特性上、一定の場所を必要とし、高額な機器費用等を踏まえ、設置場所や費用対効果等を慎重に見極めた上で当該施設に設置したところでございます。
現状におきましては、駒場いこいの家では談話コーナーに、高齢者センターでは浴室前のロビーに機器が置かれており、令和6年度の実績として、駒場いこいの家が1か月平均で約60名、高齢者センターで約900名の利用実態となってございます。
次に、第2問、北部と東部に設置されているが、中央、南部、西部への設置についてでございますが、他の地域への拡大には次のような課題があると認識しております。まず、導入時及び導入後における費用の発生を考える必要がございます。新たに機器を導入するのであれば、導入時のコストや導入後もメンテナンス費用等のランニングコストが発生してまいります。
次に、設置スペースの問題がございます。電位治療器につきましては、その構造上、一般の椅子よりも大きな設置場所が必要となり、既存施設に新たに設置するとなると、設置場所の確保が求められます。緊急時の避難経路や動線を確実に確保しなければならないため、施設の安全を担保する必要がございます。
また、区では、区民の自主的かつ自律的な交流や活動を通じてコミュニティ形成を促進し、多様な区民活動の支援・充実を一層図っていくため、令和4年度に策定した貸室のあり方見直しの基本的な考え方及び令和5年度に改定した公の施設使用料の見直し方針に基づき、今年度から、区民の誰もが幅広く柔軟に活用できる場となるよう、施設ごとの貸室からコミュニティルームに位置づけてきたところでございます。これに伴い、老人いこいの家は、いこいの家として高齢者以外の方も利用できるため、施設の用途が変わってまいりました。
こうした状況を踏まえた上で総合的に判断いたしますと、新たな当該機器の設置は困難であると認識しているところでございます。
一方で、高齢者をはじめとする区民の方々の健康維持や健康づくりについては、重要な課題と捉えており、特に介護予防、フレイル予防事業におきましては、多くの区民の方が参加でき、交流できる仕組みづくりが極めて重要となることから、今後も様々な施策を通じて、その実現に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、第2点目、旅館業法についての第1問、現状、区内において玄関帳場を設置していない旅館はあるのかについてでございますが、玄関帳場とは、旅館またはホテルの玄関に付設され、宿泊者の面接や会計帳簿の記載等を行うための設備でございます。旅館業における玄関帳場の設置義務については、平成30年の旅館業法改正において、旅館・ホテル営業の構造物設備基準が緩和をされ、代替設備を備えていれば、玄関帳場を設置しないことができるとされました。
このため、本区は、玄関帳場の代替設備の条件として、宿泊施設から10分程度で緊急時の対応を可能とする場所があること、宿泊者名簿の正確な記載、宿泊者との間の客室の鍵の適切な受渡し及び宿泊者以外の出入りの状況の確認を可能とするための設備として、宿泊施設に電話機やタブレット端末等の通信手段やビデオカメラを設置することとしております。
令和7年3月31日現在の旅館業の数についてですが、旅館・ホテル営業が62件、簡易宿所営業が4件となっており、そのうち玄関帳場を設置していない旅館・ホテル営業が48件、簡易宿所営業が2件となってございます。
次に、第2問、住宅宿泊事業法においては周辺地域の住民に周知が義務づけされているため、新たに旅館業を始める事業者にも周辺地域の住民への周知の義務づけが必要と思うが、いかがかについてでございますが、旅館業につきましては、宿泊需要の拡大を受けて、平成30年に旅館業法の規制が緩和され、部屋数の最低基準が撤廃されたことにより、戸建ての住宅やマンションの一室においても旅館・ホテル営業が可能となっております。また、これと同じタイミングで、いわゆる民泊と呼ばれている住宅宿泊事業に関する法律、住宅宿泊事業法が施行され、住宅における宿泊事業が可能となりました。
本区においては、住宅宿泊事業法の施行に伴い、目黒区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例を制定をして、事業の実施期間を金曜日の正午から日曜日の正午までに限定し、他自治体よりも事業を厳しく制限しております。
議員御指摘のとおり、住宅宿泊事業法においては、国のガイドラインに沿って、事業を営む予定の住宅の周辺住民に対して、その住宅の所在地、事業を営む者の連絡先、事業の開始予定日等について、届出の15日前までに周知を行う規定を条例及び規則において設けてございます。一方、旅館業法においては、このような規定は設けておりません。
いずれにいたしましても、マンションの一室や戸建ての住宅において宿泊施設を設ける場合は、周知不足や宿泊者のごみ出し等が原因で苦情やトラブルが発生する場合がございます。区といたしましては、このような状況を踏まえ、旅館業法に基づく営業施設に対しましても、周辺住民に対する事前周知が必要な状況であると認識しており、住宅宿泊事業法と同様に義務づけを行う方向で検討を行ってまいります。
次に、第3点目、リチウムイオン電池についての第1問、区内10か所の回収ボックスの現状についてでございますが、清掃車両や廃棄物処理施設での火災が発生しており、近年の主な原因はリチウムイオン電池等の小型充電式電池と言われております。火災事故等が発生した場合、廃棄物処理施設や清掃車両そのものへの被害に加え、作業員に対しても危害が及ぶ危険性があります。
都内においても、一昨年11月に東京二十三区清掃一部事務組合が管理運営している粗大ごみ破砕処理施設において大規模な火災が発生し、設備の一部が焼損いたしました。東京消防庁により、出火原因は、ごみの中に含まれる電池類の可能性が高いと公表されております。この火災により、設備の復旧に多額の費用と日数を要しました。
こうした状況を踏まえ、区では、清掃車両や廃棄物処理施設の火災を未然に防止し、安全な収集作業を行うため、区民の皆様にごみの分別に御協力をお願いするとともに、令和5年3月から、目黒区総合庁舎や各地区サービス事務所など区内10か所に設置した回収ボックスで小型充電式電池等の拠点回収を開始いたしました。
回収した小型充電式電池等が使用された製品のうち、リサイクルマークがついており、小型充電式電池のリサイクル活動を共同で行う団体である一般社団法人JBRCが回収を行っている製品については、JBRCへ無料で処理を依頼しております。また、リサイクルマークがなく、JBRCが回収を行っていない小型充電式電池等については、別途、再資源化委託を行い、処理を行っているところでございます。
令和6年度の回収量でございますが、合計1,691キロのうち、リサイクルマークありが572キロ、リサイクルマークなしが1,119キロでございました。
今後とも、小型充電式電池のリサイクルの推進や安全な収集作業を行うため、着実な回収に努めてまいります。
次に、第2問、リチウムイオン電池の回収などの危険性の認識に係る区民への周知についてでございますが、リチウムイオン電池といった小型充電式電池等の不適切なごみ区分への混入を防ぎ、火災事故を引き起こさないためには、リチウムイオン電池がどのような製品に使用されているのかについて区民一人一人が理解するとともに、その危険性を正しく認識していただくことが重要です。
区では、区公式ウェブサイトに加え、パンフレットである資源とごみの分け方・出し方をお配りし、モバイルバッテリーや加熱式たばこ、携帯型扇風機など小型充電式電池等が使用された主要品目となる製品を掲載するとともに、発火事故発生の危険性について周知しております。
議員御指摘のとおり、ウェブサイトをあまり見ない区民の方もおられることから、引き続きパンフレットを区有施設に設置するとともに、今月発行の区報でも注意喚起を行う予定です。また、区内の学校、幼稚園、保育園や町会などに職員を派遣し、ごみの減量・分別、リサイクルについて説明する環境学習の中で、リチウムイオン電池の分別収集の重要性について周知してまいります。
以上、お答えとさせていただきます。
○35番(武藤まさひろ議員) では、再質をさせていただきます。
まず、電位治療器なんですけれども、結構やはり多くの利用者がいる。ただ、どうしても設置場所が東部、北部のほうということで、今の区長の答弁では、ほかの地区に関しては非常に費用がかかるし、場所がないということで難しいということですけれども、区民からすると、平等性からして、やはりほかの地域にも、場所的には本当は人口の多いほうがいいんですけれども、そうじゃない場所でも設置ができないか再質をさせていただきます。
次に、2点目の旅館業法なんですけれども、今の答弁ですと、旅館業法においても、近隣住民への周知というものは今後行っていくということで御答弁をいただいたと思います。
大田区の旅館業の近隣住民等の周知に関するガイドラインというものがあります。その中では、やはり玄関帳場を設けない施設に対して、やはり地域の中にこうした旅館業をやりますよということを周辺住民の中に周知をしていくということになっております。
現状、目黒区ですと周知がありませんので、ある日突然、隣が旅館業になる。また一軒家で、そして非常に海外からのお客さんたちも多いんじゃないかと。そうした中で、例えば屋上も使って、そういった泊まりということになる。そういったことがいろいろと危惧されておりますので、それが全く周知されないというのは非常に近隣トラブルとなるということで、今後、民泊においても、周辺住民の意見・要望的なものをちゃんと書き留めると書いてありますので、そうした、近隣からどういった要望等があったのか、そこまで細かく突っ込んで今度改正をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に、リチウムイオン電池なんですけれども、非常に便利なものですので、当然、多くの人が利用されている部分であります。ただ、いろいろと事故が起きているという報道もあります。
町田市では、ごみ処理の施設で同電池の混入が原因と見られる火災が発生し、完全修復まで3年を要するという大きな被害が出ている。町田市では、その教訓を踏まえ、同市では約1万か所の集積所で月1回の収集を開始ということになっています。目黒区では10か所ですね。ただ、町田市においては、要するに、ごみの収集と一緒にやっている。ただ、危険性とか、どういう問題があるのか、その辺も課題があると思いますけれども、そこまで徹底すると、やはり区民に対しても非常に周知ができるのではないかと思います。
こうした町田市の事例も踏まえて対応していただければと思いますが、いかがでしょうか。
以上です。
○青木英二区長 それでは、3問、順次お答え申し上げたいと思います。
まず、電位治療器についてですが、やっぱり一番大きな課題は、駒場いこいの家等に入れたときと今違っているのは、令和7年4月から老人いこいの家という概念がなくなって、全てコミュニティルームということになっていますので、小さなお子様から御高齢の方まで、あまねく区民の皆さんが利用できる場合、お子さんなんかがこういった器具を使ったときの安全性というのは相当慎重に考えていかなければいけないなというのは、区長として認識してございます。
確かに、置いてあるところと置いていないところというのはありますけれども、こういった状況の変化等も、やっぱり一定念頭に入れていく。特に、危険性ということからいくと、それは大事なことではないかなというふうに思っているところでございます。
それから、2つ目の周知についてですけれども、簡単に言うと、住宅宿泊事業法では周知がガイドラインの中で求められていて、旅館業法ではガイドラインにその周知が求められていないので、そういったことを受けて、私どもは条例の中で15日について宿泊の事業については求めておりますが、やはりこういった閑静な住宅地の中ですので、今るるお話をいただいたように、そういった説明がないことによってトラブルがありますので、条例を改正するか、規則を改正するかもあろうかと思いますが、いずれにしても、こういった事前の周知というのは大事だという認識は区長として持っているところでございます。
それから、リチウムイオン電池等の回収についてですけれども、今、私どもは10か所、それから町田市は1万か所ということです。1,000倍ぐらい違うので、一気にこういうところまではいきませんが、今後どういう体制の中で、当然、相当コストも変わってくる、ランニングコストも相当になっていくと思いますから、こういった費用対効果も含めて、私どもとして、今ある10か所をどうしていくのか。減らす議論というのはありませんが、それを100にするのか、1,000にするのか、費用対効果も含めて、今後しっかりと検討を、他区の状況も含めて、23区全体を含めて俯瞰して見ながら、区としての対応をしっかりと検討していきたいというふうに思っております。
以上、お答えとさせていただきます。